今まで演奏家として映画音楽の録音に関わることはあったけれど、映画音楽(劇版部分のみ)自体を引き受ける事になったのはもちろん初めての事だ
しかし、最初から依頼されていたわけではなかった
...................................................................................................................................
名匠, 近藤明男監督の手による太宰治作, 映画『斜陽』
この映画に関わることになったのは5年前の2017年のことだ
私はorinovivo(オリノヴィーヴォ)という世界の民謡を奏でるグループのバンドマスターを務めているが、このバンドのリーダーであるヴォーカリストの緒方美穂嬢は女優さんで、近藤監督作品に出演していたのでした
近藤監督の2016年の前作『うさぎ追いし — 山極勝三郎物語 —』では、そのorinovivo楽曲『i-ki-ru』をエンディングテーマに使っていただき(緒方美穂嬢も出演している)、監督もよくライブに足を運んでくださっていた
その流れもあり、今作(斜陽)にもリーダー含めバンド自体の出演が要請されたのでした
太宰治の代表作とも言われる『斜陽』
戦後の没落貴族を描いた話だが、映画の中で我々が出演するのは、戦後の闇市の中でバンドと女性歌手が演奏しているシーンだ
orinovivoのバンドマスターということもあり、そのシーンの音楽取りまとめを依頼されたのが最初の形であった
キャストの決定を始めいろんな事がなかなか進まなくて「ああ、映画を作るって大変なんだな〜」と思いながら連絡を待った記憶がある
そして初めて監督の事務所で打ち合わせなるものがあったのは2017年11月
監督の映画にかける思いや『斜陽』を作り上げる意味や意義、情熱など、事務所の壁いっぱいに貼られたキャストの写真や撮影場所の写真、スタッフなどの名前やそれぞれのシーンへの細かい書き込みのある模造紙に囲まれながら美穂嬢と話を聞いた
1シーンのみの音楽製作と出演の予定だったが、映画にかかわれているんだ、というなんとも言えない興奮に満ちた時間だった
Yorumlar